林浴という言葉は1982年に林野庁が作った造語ですが、その実践は言葉より古くからあります。早朝に森を歩くことが体と頭に何をするか、難しい説明より先に、実際に起きることを書いておきます。

最初の10分で起きること

木の間を歩き始めると、まず視野が変わります。都市では視線が水平か下向きになりがちですが、林の中では自然に上を見るようになります。樹冠の隙間から光が差し込む角度を目が追い始めます。この視線の変化だけで、首と肩の緊張が少し緩む人が多い。意識的にやっているわけではなく、環境がそうさせます。

においと呼吸の関係

杉の木はフィトンチッドと呼ばれる揮発性物質を放出しています。特に朝露が蒸発し始める早朝は、この濃度が高くなります。においを意識しようとすると、自然に呼吸が深くなります。深呼吸を「やろう」とするより、においを「嗅ごう」とする方が、実際には深く吸えます。これは意図的な呼吸法より、環境を使った方が効果的な例の一つです。

30分後の思考の変化

歩き始めて30分ほど経つと、頭の中の「タスクリスト」が静かになってくる人がいます。全員ではありません。ただ、林の中では視覚的な情報量が少なく、音も単調です。脳が処理しなければならない情報が減ると、思考が整理されやすくなる。これを「何も考えていない」と表現する人もいますが、正確には「余計なことを考えていない」状態に近い。

毎朝続けることの意味

Quiescent Cedar Thicketでは、2泊以上の滞在ゲストに毎朝のウォークをお勧めしています。1回目と2回目では、同じルートでも感じ方が変わります。初日は「観察」、2日目は「慣れ」、3日目は「ただいる」という段階に変わっていく人が多い。この変化を体験するためだけに、2泊以上の滞在には意味があります。

林浴は治療ではない

林浴が健康に良いという研究は複数ありますが、何かを治すものではありません。疲れている人が少し楽になる、考えすぎている人が少し静かになる、それくらいのことです。過大な期待を持って来ると、かえって「何も変わらなかった」と感じることがあります。ただ歩いて、においを嗅いで、鳥の声を聞く。それで十分です。

早朝林浴ウォークはQuiescent Cedar Thicketの全プランに含まれています。参加は任意ですが、滞在中に一度は試してみることをお勧めします。客室の詳細やご予約はお問い合わせページからどうぞ。